日本で英語を教えていた姉が無残な遺体となって発見されたのは6年前。
犯人はあの男にちがいないとロンドンの刑事たちに教えられたけれど、証拠という証拠はすべてもみ消され、これ以上の捜査はNO…との上からの指示で、捜査は打ち切られた。
あれ以来、両親の間には喧嘩が絶えなくなり、私は家を出て復讐を誓った。
そしてとうとう…
やっと終わる。これで最後。きょうのためにこの世界に身をおき、やりたくない仕事もやってきたけど…あとはすべてを忘れて静かに暮そう…リュウイチ……
ホテルの部屋の前に立ち、手袋をはめる。ベルを押そうとした、その瞬間、勢いよくドアが開き何者かに引きずり込まれた。
「!!」
とっさにバッグに突っ込もうとする手を強い力で押さえられた。
(手袋?)
私の手を押さえつけるその手にも…私と同じ特殊な薄い手袋がはめられている。
必死でもがく私の動きを抱きしめるように止めて…
「落ち着きなさい。シャーロットさんね。…安心して、敵じゃないわ。」
女!?
あまりの驚きに言葉をうしないつつも、相手の顔を見ると…
見たこともない女がうっすらと笑みを浮かべながら、じっと私の目をみつめている。
「驚かせてごめんね。貴女が来るのは判ってた。…何をしに来るかも。貴女のこと、だいぶ調べさせてもらったわ。私?私は………ヨシエ。はじめまして、よろしくね。」