-chapter 2-
「まもなく大宮に到着いたします」
バスのアナウンスでふっと現在に引き戻される。
成田についてバスに乗り、3年ぶりの日本の景色を見ながらも私の心は別にあった。
3年前、彼との時間はかけがえのないものだった。
クールに接しているように見せていたけれども、ハートのベクトルはいつも同じ方向を向いていた。
彼はヒーローだった。
でもそれは突然おそってきた。
言いようがない不安。
生まれ育った国を遠く離れての暮らし。
帰らなくてはという強迫観念のようなものだった。
彼とのつながりを強く求める心の反動だったのかもしれない。
ロンドンに戻った直後はバランスを取り戻すことができたと思っていた。
でもイメージの片隅にいつも彼の存在があった。
それは徐々に大きく、現れる回数が多くなっていった。
自分をだませるのは3年が限度。
振幅の少ないバランスより、大きなうねりとともに。
エアチケットを買い、彼に電話をした。
でも、間単に用件を伝えることしかできなかった。
相変わらずだと思われてしまったわね。きっと。
今回の日本、帰りのチケットは予約していない。
まず彼に会って自分の心がどう言うか・・・
バスは大宮に到着。
店の場所は彼からメールでもらっていた。
それほど来た町ではないのに、通りもよく覚えている。
店が見えてくる。鼓動が少し早くなった気がする。
扉を開ける。
イメージの中と変わらない顔がそこにある。
片手を軽く挙げ立ち上がる。
「ようっ」 と口が動いたように見える。
懐かしい彼の腕にハグされる。
耳元で久しぶりに聞く声。
「お帰り、シャーロット」・・・